ドラッグストアなどで市販されている漢方薬。なかには漢方薬名とは違う商品名になっている市販薬もあるので、購入時には薬剤師などに相談を(撮影/写真部・小山幸佑)
ドラッグストアなどで市販されている漢方薬。なかには漢方薬名とは違う商品名になっている市販薬もあるので、購入時には薬剤師などに相談を(撮影/写真部・小山幸佑)

 なかなか疲れが取れない、だるくて体が重く感じる……。こうした体調不良を抱えているのは、実は高齢者より、忙しい現役世代のほうらしい。そんな悩みの改善に役立つのが漢方薬だ。抱える不調に効く薬を漢方に詳しい医師が紹介。いざというときのために常備しておくと便利だろう。

「漢方」と聞くと、体質改善のための治療、体に優しくゆっくりと効く、女性の不調に使われる……。そんなイメージを思い浮かべる人も多いだろう。

「実はそうでもないんです。最近は、30代から50代の働く世代、しかも男性患者さんが増えています」

 そう語るのは、芝大門いまづクリニック院長の今津嘉宏さん。日々の診察の経験を『仕事に効く漢方診断』(星海社新書)にまとめた。

「訴えで多いのは、疲労、だるさ、不眠など。意外と“連日の飲みすぎで体調が悪い”という人も来ますね」(今津さん)

 東海大学医学部専門診療学系漢方医学教授で、『わが家の漢方百科』(東海教育研究所)を出版した新井信さんもこう指摘する。

「今はむしろ高齢者よりも、若い人のほうがずっと疲れていますよ」

 新井さんは2002年、長野県旧長谷村(現・伊那市)の村民約1200人の健康状態を調査した。すると、疲れやだるさなどの不調を訴える人の割合は、高齢者よりも若い人に多く、女性より男性のほうが疲れていることもわかった。

 そこで今回、ビジネスシーンの不調に応じた、とっておきの処方や日常生活の養生法を漢方に詳しい医師に聞いた。今回、医師に挙げてもらった処方の多くは、市販品として薬局やドラッグストアなどで手に入るもので、一部は、医療機関で処方してもらえる。上手に活用して日々の体調管理にお役立ていただきたい。

【1】昇進試験やプレゼン前、ここ一番でがんばりたい
<補中益気湯(ほちゅうえっきとう)>
 大事なプレゼンや昇進試験が控えているのに、疲労が抜けず、力が湧いてこない。そんな不調に悩んでいるビジネスパーソンも多いのではないだろうか。

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