「戸建て住宅の場合、宅配ボックスが大型化すると、街づくりや美観を損ないかねない。そこで門柱一体型を企画した。建物との一体感や、まちに溶け込んだデザインが可能になった」(住宅事業推進部の本間生志・営業統括部部長)

 17年度中に、門柱一体型宅配ボックスがある住宅600棟の販売を目指しているが、「5月上旬時点で既に300棟が達成できた」(本間さん)という。

 製造を担当したナスタの平山浩哉・広報室部長によると、安全性が高い「ナスタガード」のポストと、セットにしたことが評価されているという。

「宅配ボックスに荷物を入れると、ポストには受取伝票を入れる。ポストの口が大きくてカギがついていないと、伝票を抜き取られて荷物も危なくなる。ナスタガードはポストから抜き取れない仕組みがある」

 この仕組みのおかげで、戸建てでも受け取りだけでなく発送もできる。一般書留の受け取りも可能だ。

 マンションや集合住宅向けが中心だったフルタイムシステムも戸建て住宅向けに力を入れる。6月8日には新製品を発表する予定だ。副社長の原さんは、

「マンションで我々の製品を使った方が、一軒家を建てるときに『あの便利な宅配ボックスが欲しい』と言ってくれた。強みである管理システムを生かして、戸建て向けにも力を入れたい」

 戸建て向けの本格的な商品は高いという人は、ネットを中心に数千円から1万円前後の簡易タイプが販売されている。

 自作もできる。ホームセンターで数千円のボックスを買う。チェーンなどで固定し、カギがかかっていない状態の南京錠や印鑑を中に置く。業者のスタッフが荷物を入れた後に、ボックスに南京錠をかけてくれるので、自分が持つカギで開ければいい。対応してくれない業者もまだ多いが、徐々に広まりつつある。

 宅配業者の人手不足は解消が難しく、宅配ボックスの普及は勢いづいていく。一家に一台の時代に乗り遅れないよう、いまから準備してみてはどうだろう。

週刊朝日 2017年6月16日号