ゴキブリワンプッシュ80回分
ゴキブリワンプッシュ80回分

 「ザ・チョコレート」のブームに、「生茶」の復活、当初2カ月間で予定の約2倍を受注した「47都道府県の一番搾り」……様々な食品がヒットを飛ばした2016年度。

 食品以外でも、新たな価値を打ち出して話題の商品がある。殺虫剤大手のフマキラーが昨年8月に「次世代型駆除剤」として出した「ゴキブリワンプッシュ」(税込み1180円)。同社の広報担当者は「他社がまねようとするほど、すごく売れている」と胸を張る。

 使い方は簡単。冷蔵庫や家具の隙間などに、スプレーをシュッと一噴き。細かい霧が浸透し、隠れたゴキブリをあぶり出す。

 東京都の会社員、越川明希さん(29)は「ゴキブリとの戦いに終止符を打つ」思いで買った。寝る前に冷蔵庫の下に噴くと、翌日にはゴキブリが仰向けで瀕死に。「想像よりすごい効果。使い始めてからゴキブリの姿を見かけなくなり、終止符が打てそう」と満足げだ。

 何が次世代型なのか。ゴキブリに直接噴きかけて殺すタイプと違い、ワンプッシュで効果が出る。それでいて、煙タイプの駆除剤のように隙間の奥まで成分が届く。即死しない程度に成分が調整されており、ゴキブリは苦しんで隙間から出てきて死ぬ。効果を目で確認できるのも特徴という。

 新製品効果などもあり、フマキラーは売上高と営業利益ともに前年比二桁増の好業績となった。

 よい商品は国内外問わずに売れる。「クール・ジャパン」として話題のアニメやゲームは典型だろう。

 スクウェア・エニックス・HDは昨年11月、ゲームソフト「ファイナルファンタジーXV」を発売。全世界で600万本売れ、過去最高の売上高と利益の好業績に大きく貢献した。

 作品の特徴は、人工知能(AI)の技術を生かしていること。例えば、戦闘の場面で、プレーヤーが主人公の一人を操作するが、周りの仲間はAIが戦況を理解して攻撃や援護を判断する。小学生のころから「ファイナルファンタジー」ファンという福岡県の女性(30)は「ストーリーを進めるうちに、AIが私の好みなどの情報を記憶する。仲良くなれている!という気持ちでプレーできる」。ゲームの世界に感情移入し、エンディングを迎えた際に涙が止まらなかったという。

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