地域の風土や文化を47通りの味の違いで表現して売れたのが、「47都道府県の一番搾り」。昨年5月に地域限定で販売を開始、当初2カ月間で予定の約2倍を受注した。社内では「本当にできるのだろうか」と疑問もあった商品開発だが、無謀にも見えた挑戦がヒットに結び付いた。

“地元愛”をくすぐる地域限定の品は、コンビニの弁当などでも広がっている。コンビニは消費者の好みをうまくとらえた商品が多いが、ローソンの「グリーンスムージー」(200グラム、税込み178円)もその代表格。美容・健康志向をとらえ、スムージーシリーズは4月末時点で累計1億本売れた。

 生野菜や果物をミキサーで混ぜてつくる飲み物のスムージー。野菜を摂取でき、食物繊維のおかげでダイエットによい、とも言われる。甘味料でより飲みやすい味に仕上げており、手に取りやすい品となったようだ。

 ローソンは、小麦粉より糖質が少ないブラン(穀物の外皮)を使ったブランパンもヒット。「マチの健康ステーション」に沿った商品開発を進め、16年度決算は増収増益だった。

 日清食品HDが昨年4月に発売した「カップヌードルリッチ」もよく売れた。発売から7カ月で1400万食を突破した。

 通常品より50円高いが、贅沢な素材のスープを使い、質にこだわるシニア層を意識。50~60代らに受けた。10~20代と比べ、シニア層は人口が多い。市場規模が大きいだけに、ヒットすれば効果も際立つ。

 国内の食品市場は、人口減少と少子高齢化で頭打ち傾向だ。ある食品メーカーの経営者は「日本人の胃袋の数が減り、大きさも小さくなる二重の打撃」と嘆く。海外市場に活路を見いだすのも一手だが、紹介した企業のように、国内市場でも売上高を伸ばす会社があることに注目したい。

週刊朝日 2017年6月16日号より抜粋