そもそも安倍首相自身が、衆院に初当選した1993年ごろから数年間、広島加計学園の監事として1年間に14万円の報酬を得ていたことを国会で認めた。つまり、安倍首相は加計氏と40年来の親友であるばかりでなく、浅からぬ「借り」があるのだ。

 奇妙な偶然なのか、16年7月19日に最高裁判事に就任した弁護士の木沢克之氏は、13年から加計学園の監事を務めていた人物だ。加計氏と同じ立教大学の同窓生で、立教卒の最高裁判事は史上初。

 加計氏らはこの2日後、安倍首相と会食、翌日には山梨県でゴルフを楽しんでいる。その人脈は司法界にも及んでいることになる。

 時の政権にここまで食い込んだ加計理事長とは、いったい何者なのだろうか。

 加計学園グループは加計氏の父親の加計勉氏が創始者。64年に開学した岡山理科大(岡山市)を中心に拡大を続けてきた。孝太郎氏の実姉である美也子氏が運営する順正学園系列も合わせると、現在は大学、高校、小中学校、専門学校など全国で30校以上を運営する、西日本では有数の規模を誇る私学グループだ。

 加計孝太郎理事長は01年に先代の跡を継いだ。安倍首相とは20代の米国留学中に知り合って以来の「ゴルフ友達」として、約40年間、家族ぐるみの親交を続けてきた。昭恵夫人は自身のフェイスブックに<男たちの悪巧み>と題した安倍首相、加計氏らの飲み会写真を載せている。千葉科学大関係者が言う。

「お酒好きで陽気な性格で、ビールのジョッキにウイスキーのショットグラスを落として飲む“バクダン”という飲み方がお気に入り。年に2回ある職員や地元関係者との親睦会では、周囲にも“バクダン”をすすめて、楽しそうでした」

 加計氏の思い入れが特に強いのは、理事長として04年に自ら設立した千葉科学大だという。開学時には薬学部のほか、日本で初めて危機管理学部を設置。

「歴史のある岡山理科大は教授会組織の力が強く、好き勝手はできない。理事長からすれば新設の千葉科学大は自分の思いを実現できる場なんでしょう。ただ、どんどん学科やコースを新設するので現場は大変。『どうして定員が集まらないんだ』とテレビ会議で怒られるけど、こちらからすると理事長の思いつきに翻弄されている感覚もある」(前出の関係者)(本誌・小泉耕平、亀井洋志)

週刊朝日 2017年6月16日号