一部売却されて取り壊されるミスターの生家
一部売却されて取り壊されるミスターの生家

「長嶋茂雄の生家が廃墟化で近隣から苦情」

 女性週刊誌にそんな見出しが躍ったのは昨年10月。ミスタープロ野球こと長嶋氏が高校まで過ごした千葉県佐倉市の家が、ボロボロに朽ち果てているという内容だった。

 あれから半年余り。5月中旬に現地を訪れると、件の家は取り壊し工事の真っただ中。敷地の一部では造成工事が行われていた。

 近隣住民が明かす。

「先月から解体工事が始まりました。かなり古くから物置として使っていた建物です。農地として貸していたこともある裏庭部分は不動産業者に売れ、建売住宅を造るそうです。長嶋さんの生家は現役時代には観光コースとして大型バスが止まるぐらいだったのに、今では住人もいない。シンボルだった大きなエノキの木も切り倒されてしまい、寂しい限りです」

 約2500平方メートルの広大な敷地には解体中の建物とは別に、24年前に建てられた木造2階建ての立派な屋敷もあり、そちらは壊されずに残っていた。だが、長嶋氏の両親が亡くなった後に住んでいた長男が6年前に他界。相続した息子家族は別の場所に世帯を持ち、空き家になっている。

 昨年の記事では廃墟化でネズミやボウフラに占拠された生家に困り果てた町内会が市に強制解体の直訴も検討と報じられたが、今回取材すると、意外にも状況は違った。

「私たちまったく迷惑なんてしていません。ここは田舎だし、広いから気にもならない。苦情の話は一体どこから出たのかしら、とみんなで話していたんです」(別の近隣住民)

 気になるのは売却した裏庭部分の1860平方メートルに及ぶ土地だが、不動産鑑定士によると「相場から考えると売値は6千万円ぐらい」とのこと。ここに来年3月をめどに11戸の住宅を建てる。

 生家を取り壊した理由などを聞くため土地と建物を所有する親族を訪ねたが、何も語ってもらうことはできなかった。スーパースターの生家にしては寂しい最後だ。

週刊朝日  2017年6月9日号