「第二のウォーターゲート事件だ!」

 トランプ大統領の疑惑が相次いで発覚したことで、与党・共和党からも「もはや転換期かもしれない」との声が出てきた。

 共和党重鎮のマケイン上院議員はCBSニュースのインタビューで、「前にもこんなことがありました。この問題はウォーターゲート事件並みの規模に発展するかもしれません」と語った。

 ウォーターゲート事件では1972年、再選をめざしていたニクソン大統領(当時)の関係者が民主党本部に盗聴器を仕掛けようとして逮捕され、大統領に関する疑惑が次々に発覚。ニクソン政権の複数の補佐官が起訴され、彼らの証言でFBIへの捜査中止命令など一連の隠蔽工作が判明した。トランプ大統領のロシア問題への対応をみると、隠蔽・否定・欺きなどニクソン大統領とよく似ていることがわかる。

 アメリカン大学のアラン・リヒトマン教授(現代米国史)は、ニクソン氏とトランプ大統領には共通点が多いと指摘する。

「2人とも白人労働者層の怒りをうまく利用して当選したが、強い政治的信念は持たず、非常に野心的で、何よりも自分の利益を優先します。目的のために手段を選ばず、平然と法律違反をし、反メディア的でパラノイア(妄想症)の傾向があります」

 2人には共通点だけでなく、直接交流もあったようだ。政治専門紙「ザ・ヒル」によれば、ニクソン氏は辞任後の87年、トランプ氏に「あなたは大統領に立候補すれば、いつでも絶対に当選しますよ」と書いた手紙を送り、それをきっかけにお互いの交流が始まったという(16年12月12日付)。

 もしかしたら、トランプ大統領は司法妨害や隠蔽工作などでニクソン大統領を「手本」にしているのかもしれない。

 5月24日のギャラップ調査ではトランプ氏の支持率は39%で、大統領の支持率としては悲惨だ。トランプ氏には熱心な支持者が多いので、長い間40%を維持していたが、FBI長官の解任後はほぼ37%から39%の間を推移している。少しずつ支持者が離れているのかもしれない。

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