長年の日本茶作りへの姿勢や技量を評価され、天皇杯の受賞歴もある名人・太田昌孝さんの手(撮影/門間新弥)
長年の日本茶作りへの姿勢や技量を評価され、天皇杯の受賞歴もある名人・太田昌孝さんの手(撮影/門間新弥)

 飲食店に入ればさっと緑茶が出てきて、コンビニではいつもペットボトルのお茶が買える。日本茶が日常に浸透しきっているなか、新たな楽しみ方を提案する動きもある。5月は新茶の季節、香り高いお茶を召し上がれ! *特記のない価格は税込み

【写真】茶葉ってこんなに緑色だったの!?

 静岡・天竜川上流の山間地に広がる太田昌孝さん(77)の茶畑。中でも品評会用の畑は特別で、茶葉の収穫は1年に1回のみ。今年は5月3日に約80人が畑に集まり、丁寧に手摘みした。

「一人でできることは知れている。こうして集まってくれる人が一番の財産」と太田さん。

 東京・日本橋でフレーバー茶専門店「おちゃらか」を営むステファン・ダントンさん(53)はソムリエとして来日。ワインが土壌やブドウの品種などによって多彩な味わいが生まれるように、日本茶も同じだと感じた。しかし、タダ同然のお茶か高級茶のどちらかで中間がない。

「気軽に楽しめるテーブルワインのようなお茶があれば」と、フレーバー茶作りを始めた。間口を広げて興味を引くきっかけ作りが大事だと考えたからだ。

 茶葉と真剣に向き合う生産者や、日本茶に魅力を感じて広めようとする人や店が増えている。新しい日本茶の世界は想像以上に楽しくて、味わい深い。

【1】カネタ太田園
・収穫日は年1回、名人渾身の最高級茶葉
黒い被覆資材に覆われた約10アールの畑。「敷草」と自然の堆肥を使ってふかふかの土を作り、枝を自由に伸ばしたような「自然仕立て」で栽培している。新芽だけを手摘みした茶葉約30キロからわずか6~7キロの緑茶しか作ることができない。農林水産大臣賞を受賞した茶葉は1キロ30万円で取引される

静岡県浜松市天竜区西藤平36-1/営業時間:9:00~19:00(土日祝~18:00)/定休日:不定

【2】ROYAL BLUE TEA
・常識破りの最高級水出し日本茶
厳選された茶葉を数日かけて水出しし、添加物を加えず、非加熱濾過除菌を手作業で行うことで、お茶本来の色、香り、味をワインボトルに封じ込めた。「この豊かな時代にお茶はペットボトルだけでいいのでしょうか? いいお茶の文化を伝え、お酒を飲まない人も楽しめるものを提供したいんです」(会長・佐藤節男さん)

神奈川県茅ケ崎市本宿町2-8/営業時間:10:00~18:00(L.O.17:00)/定休日:日曜、年末年始/グラス400~900円(別途チャージ300円、税別)

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