プロゴルファーの丸山茂樹氏は、故郷・沖縄の試合で見せた宮里優作の優勝に感動を覚えた。

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 やりましたねー。宮里優作(36)が2試合連続優勝です。それもふるさと沖縄で、家族の前で。なかなか感動的でした。

 男子ツアーの国内メジャー「日本プロゴルフ選手権日清カップヌードル杯」(5月11~14日、沖縄・かねひで喜瀬CC)です。最終ラウンドはトップに2打差の2位でスタート。いきなりのバーディーラッシュでした。まずは1、2番で連続バーディー。4番のバーディーで単独トップに立つと、5、6番でもバーディー。これで独走状態に入り、そのままいっちゃいました。

 あんなにパッティングのいい優作を見たのは初めてです。僕はテレビ解説のお仕事で現場にいましたけど、いいストロークで、インパクトの音もすごくしっかりしてました。

 兄の聖志(きよし)(40)と妹の藍ちゃん(31)は沖縄の試合で優勝経験があるんですけど、優作は勝てずにいた。だから今回は、ほんとにガッツのある1週間だったなと思いますよ。次、いつ勝てるかなんかわからない。非常に少ないチャンスで勝ちきったわけですから、すばらしくガッツがあったですよね。

 実家から車で40分のゴルフ場に父の優(まさる)さん(70)、母の豊子さん(66)、聖志、藍ちゃんも応援に駆けつけてね。そこで優作が堂々の優勝ですよ。こんなにうれしいこと、なかなかないんじゃないですか? 家族が喜び合ってる様子を見て、僕もジーンとなりました。

 優作が優勝インタビューで言ってましたけど、最初にお母さんがゴルフを始めて、お父さんに教えて、それでお父さんが3人の子どもたちに手ほどきしたんですってね。意外でした。最初にお母さんがゴルフやってなかったら、宮里家にこの日は来なかった。しかも当日が母の日でしたから。優作もすごい運を持ってますね。

 この優勝で5年のシード権が手に入りました。今シーズンの賞金は5700万円を超えて、トップに立ちました。この試合直後のワールドランキングは104位ですか。このまま日本で頑張って、50位に入るような成績を残してほしいと思いますね。そうすればマスターズや全米オープンに全部出られます。優作にとって次のステップは、そこがいいんじゃないかと思いますね。

 
 米PGAツアーでは松山英樹(25)が「プレーヤーズ選手権」(5月11~14日、米フロリダ州ポンテベドラビーチのTPCソーグラス)で22位に入って、日本勢初の世界ランク3位に浮上しました。

 まあ、今回は自分が好成績を残して3位になったわけじゃないんで、彼にとっては「あ、いっちゃった」ぐらいの感じだと思いますね。それでもね、最終日の爆発力はさすがだと思いますよ。54位で始まって、10番までに三つスコアを落としてね。ズタズタだったのに、残り8ホールで6アンダーですから。こういった部分も米ツアーでの英樹の成長なんでしょう。まあとにかく、僕らがどうこう言うような選手じゃなくなっちゃいました。ハハハ。この試合の最後の8ホールで、何かつかんだのかもしれないですね。英樹の次の試合が楽しみです。

週刊朝日  2017年6月2日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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