他人のネタで赤っ恥…春風亭一之輔が「思い込み」の怖さを実感 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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他人のネタで赤っ恥…春風亭一之輔が「思い込み」の怖さを実感

連載「ああ、それ私よく知ってます。」

「思い込み」は怖い…(※写真はイメージ)

「思い込み」は怖い…(※写真はイメージ)

 近しい先輩に電話をすると、

「懐かしいねぇ! それ、Tさんが考えたクスグリだよ!(笑)でも、そんなどうでもいいことで電話してくんなよっ!!」

 そうだ。あのクスグリはTさんがやって爆笑したヤツだ。あまりに面白かったので、あの噺をやる時はやってみようかな……と思ってたんだった。時が経ちすぎて、自分のオリジナルだと思い込んでた……。

 Tさんに申し訳ない。そして、あたかも自分のオリジナルのように教えてしまった後輩にも。すぐ後輩に電話。

「……わざわざすいません。そのTさんによろしくお伝えください。ところでご用件はそれだけですか?(おそらく真顔)」

 冷たく電話を切られたが、後輩への筋は通した。しかし、Tさんの連絡先がわからない。

 ちなみにTさんのそのクスグリは落語『茶の湯』の知ったかぶりのご隠居さんが「茶筅(ちゃせん)」がわからず、「ほら、あれ持ってこい。茶碗をかき混ぜる……竹で出来た……ほら、下から見るとお尻の穴みたいな……そうそう! 『アナル・ザ・バンブー』っ!!」という最低なものだ。正直、笑うのは100人中3人くらい。クスグリの質はどうでもいい。Tさんに筋は通さねば。

 でも何でこんなクスグリ、自作だと思い込んでいたんだろう。

週刊朝日  2017年6月2日号


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春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめた最新エッセイ集『まくらが来りて笛を吹く』が、絶賛発売中

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