4年ぶりの来日公演でギターを弾くカルロス・サンタナ=4月27日、日本武道館(撮影・有賀幹夫)
4年ぶりの来日公演でギターを弾くカルロス・サンタナ=4月27日、日本武道館(撮影・有賀幹夫)
『ロータスの伝説 完全盤―HYBRID 4.0―』(SICP10116~8、3 Hybrid Discs、完全生産限定盤)
『ロータスの伝説 完全盤―HYBRID 4.0―』(SICP10116~8、3 Hybrid Discs、完全生産限定盤)

 4年ぶりに来日したカルロス・サンタナ率いるサンタナのライヴに興奮を覚えた(4月27日、日本武道館)。前回の来日40周年記念公演を見逃したことや、1973年の初来日時の大阪公演を完全収録したアルバム『ロータスの伝説 完全盤―HYBRID 4.0―』が発売されたこともあり、最新のライヴを見届けておきたいと思った。

 今回の来日では、カルロス・サンタナの妻であるドラマーのシンディ・ブラックマンを筆頭に8人のメンバーを抱えた。7月には70歳を迎えるカルロス・サンタナは、ベテランのロッカーの中でも精力的な活動を続けている一人である。

 シンディ・ブラックマンのドラムをきっかけに幕を開けたステージは、リズム陣が加わって後、早くもカルロス・サンタナのうなるギターがフィーチャーされ、ヴォーカルの2人、アンディ・バーガスとレイ・グリーンがフロントに立った「アー・ユー・レディ・ピープル」へと一気呵成に突入。続いて、早くも懐かしい「祭典」が演奏された。アフロ・キューバンとラテン・ロックが混在したリズミカルな演奏は、かつてに比べてゆったりとして重量感がある。リズム陣とコーラスの掛け合いなど、快活さは健在だ。

 日本への愛と来日した喜びを語るカルロスのMCが入り、フラメンコ的な趣のギターをフィーチャーした「マリア・マリア」。観客にダンスを呼びかけた「フー・フー」ではヴォーカルの2人のラップのような歌唱もあってヒップ・ホップ的な趣に。最新のサンタナならではというところだ。カルロスはしなやかで弾力のあるギターでそれに応える。

 中盤のハイライトは「ネシャブールの出来事」。ラテン・ビートをバックにしたカルロス・サンタナの強靭(きょうじん)なハードロック・ギターが堪能できる前半部、それとは対照的なバラード・パートのボレロでの官能的なフレージングにうっとりとなる。

 誰もが待ち望んでいたに違いない「哀愁のヨーロッパ」では、優しく語りかけるような演奏を披露。星空のきらめきが思い浮かぶ流麗で繊細な表情を見せる。

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