商工中金の不正行為は、「補助金をだまし取る行為に等しい」と指摘する専門家もいる。常習的だったうえ、経営陣に報告された不正をコンプライアンス部門がもみ消し。こんな会社、ふつうなら存続すら危うくなっておかしくない。

 だが、経産省などが商工中金を厳しく処分・指導できるかは怪しい。

 社長・副社長は2代続けて経産省元次官と国税庁長官が務める。両省の現役幹部も出向中。リーマン・ショックや東日本大震災などの悪影響が和らいだあと、「デフレ」「原材料高」などあいまいな認定要件の項目を加え、不正の温床を生んだのは、ほかならぬ経産省だ。

 9日の業務改善命令は、来月9日までに業務改善計画をまとめ、計画の進み具合を毎月20日に報告するように求める内容。危機対応での融資案件の全件調査も求めていて、結論までには時間がかかりそうだ。

 反省の色が見られない経営陣が、どんな計画をたてるのか。自らの組織の危機と自認して生まれ変わらないと、中小企業の期待に応えるどころではない。

※週刊朝日オンライン限定記事