田臥勇太(たぶせ・ゆうた)/1980年、横浜市生まれ。バスケの名門・秋田県立能代工高で活躍。2004年、フェニックス・サンズと契約し、日本人初のNBAプレーヤーに。08年にリンク栃木ブレックス入団、14年から主将(撮影/加藤夏子)
田臥勇太(たぶせ・ゆうた)/1980年、横浜市生まれ。バスケの名門・秋田県立能代工高で活躍。2004年、フェニックス・サンズと契約し、日本人初のNBAプレーヤーに。08年にリンク栃木ブレックス入団、14年から主将(撮影/加藤夏子)

 1年目のBリーグは、5月13日からのチャンピオンシップ(CS)を控え、いよいよ佳境。日本人初のNBAプレーヤーで、36歳の今もリンク栃木ブレックスのポイントガードとして活躍する、バスケットボール界のレジェンド・田臥勇太選手に、初代王者への意気込みを聞いた。

──36歳でも最前線で活躍できる秘訣(ひけつ)は?

 自分自身がチャレンジを続けることです。今でも、周りの選手に負けたくない、もっとうまくなりたいと毎日思いながら練習しています。そのために何をしなければいけないのか、一つひとつプロセスを乗り越えていくんです。年を重ねれば重ねるほど、やるべきことが増える。それを楽しんでいます。

──体力の衰えを感じることはないんですか?

 若い選手を見ていると、感じることもあります。僕も若いときは、練習でガンガン追い込めたし。でも、年を重ね、経験を重ねることでアプローチが変わるんです。今出場している試合数や、試合ごとのプレータイムは、若いころより格段に多い。昔と同じようにやっていたら、とてもじゃないけどもちません。今の状況だからこそ、何ができるのかを考えることが楽しみなんです。コートに立つまで、試合中、コートを出た後をそれぞれしっかりイメージして、普段から食事、体のケアなどを徹底し、生活の全てがつながるようにしています。何より、それを継続すること、リズムを作ることを大事にしています。

──どうやってリズムを保っているんですか。

 お酒はもう何年も飲んでいません。もともと、後輩を連れて「飲みに行くぞ!」というタイプではありませんし。それに、夜9時以降は何も食べないようにしています。おなかがすいたら、消化がいいものを少しだけ食べるようにしています。太りやすい体質なのもありますが、早く食事を終えると、その分早く寝ることができて、生活リズムを整えることにもつながります。ペースが乱れたときも、どう対応し、応用するかがすごく大事だし、そのこと自体を楽しんでいます。例えば、取材を受けていつものトレーニングができなかったら、その分何をすべきか考える。この取材の後も、プールに行くんです。若いときだったら、イレギュラーが続いたらパニックになったかもしれません。経験が増えるにつれて柔軟に対応できるようになりました。

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