日本人は高収入をあきらめている? フジマキ氏が指摘 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

日本人は高収入をあきらめている? フジマキ氏が指摘

連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

このエントリーをはてなブックマークに追加
日本人は高収入をあきらめている?(※写真はイメージ)

日本人は高収入をあきらめている?(※写真はイメージ)

“伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史氏は、欧米金融マンの働き方から、日本の働き方改革に求められることは何かをテーマにつづる。

*  *  * 
 モルガン銀行東京支店長の在職時、ニューヨーク本店に1年間転勤していた部下が帰国したときのこと。

「藤巻さんが昼に2時間泳いで夕方5時に退社すること、ニューヨークでも有名で、みな知ってましたよ」と報告された。「へー、ばれているんだ。誰から聞いたの」「マイクです」「げっ、直属のボス! やばい」

 私は「会社に時間を売っているのではない。利益を売っている」とうそぶいていたが、米銀勤務だったからこそ通用した言葉だろう。

★   ★
 安倍政権が、残業時間の上限規制や同一労働同一賃金を掲げ、働き方改革を進めている。前進だとは思うが、モルガンで15年間、欧米人の働き方を見てきた身からすれば、まだ小粒の改革に思えてならない。

 一般的に欧米の金融マンは太く短い職業人生をめざす。短期間猛烈に働き、若くしてリタイアし、ためたお金で第二の人生を堪能する。それが理想のようだ。

 モルガン会長だったサンディ・ワーナーは48歳で社長になった。当時、彼より年上の幹部は少なかった。みな、若くして第二の職業人生へと歩むからだ。

 モルガンの資金為替部長経験者たちは退職後、「土に戻る」人が多かった。

 ワイン用のぶどう農場経営など、農業関係の仕事をする。一時は社長候補といわれたマーカス・マイヤー氏は若くして引退した直後には世界中に家を6軒持ち、順番にまわっていた。

 まさに世界を股にかけた国際金融マンの引退後らしい。出生地スイスに1軒の家を持ち、半分が自分の写真用スタジオ、半分が夫人のコーヒーショップ。夫人の地元ケンタッキーに綿花農場を買い、農場での経営会議があるとアメリカへと飛ぶ。イタリアのトスカーナ地方ではオリーブを植え、油を採取していた。

 所得税の累進カーブが急でないから、こうした「太くて短い」職業人生が可能だったと思う。日本のように累進カーブがきついと、猛烈に働いても不可能だろう。いっときに多額の収入を得ても、税の支払いで手元に残らないからだ。日本では「細くて長い」職業人生しか選択できない。


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい