籠池泰典前理事長(c)朝日新聞社
籠池泰典前理事長(c)朝日新聞社

 国民の目には、森友問題はいまだにモヤモヤしており、国会でも真相が解明されぬまま、疑惑が山積みとなっている。

 森友問題に関する情報を積極的に発信している神戸学院大学法学部の上脇博之教授はこう語る。

「権力の横暴をまざまざと見せつけられる思いです」

 数ある疑惑の中でも、特に上脇氏が問題視しているのが、安倍首相夫人の昭恵氏が瑞穂の國記念小學院の名誉校長に就任したことだ。

「昭恵氏は行政の長である内閣総理大臣の夫人の立場で、民間の学校の名誉校長に決して就いてはならなかった。これから学校を作ろうとしている場合は、特に問題です。どうしたって設置者の森友側と一体化してしまい利益相反します。単なる名義貸しではないことは、(塚本)幼稚園で3回も講演していることからも明らかです。名実ともに森友側の人間として、官庁や自治体に政治力が発揮された」(上脇氏)

 森友学園の籠池氏が3月23日、証人喚問で昭恵氏から「安倍首相からの寄付100万円」を手渡されたと発言したことに対しても、安倍首相は否定するばかり。野党の求める昭恵氏の証人喚問に応じる素振りもまったくない。

 国有地がなぜ、9割近くも値引きされて売却されたのか。その疑問を解くために行政文書の検証が不可欠だ。しかし、財務省は森友学園との交渉記録は売買契約後に廃棄したと説明。削除されたパソコンの電子データも復元は不可能と言い切る始末だ。

「公文書管理法」に詳しい獨協大学名誉教授の右崎正博氏が怒る。

「後々問題が生じた場合、検証可能な形で文書が残されていることが重要なのですが、こんなことがまかり通るなら財務省は国有財産の管理なんかできません。もはや、証拠を残さない、隠蔽しようとの故意を感じざるを得ません」

 政府と官庁が示し合わすように証拠となる文書を隠してしまえば、真相は闇の中だ。安倍首相や政府の目論見どおり、森友問題はこのまま幕引きとなってしまうのか。国会で問題を追及している宮本岳志衆院議員(共産)はこう指摘する。

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