放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、シートマスク「BIHADA ICHIZOKU」について。

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 いまではスキンケアの常識の一つとも言えるシートマスク。目と鼻、口にだけ穴が開いているマスクに、あらかじめ美容液をたっぷりしみこませた顔パック用の美容アイテムだ。

 ブームの火付け役となったのが「美肌一族」。パッケージには美肌紗羅、祐天寺咲、美肌ルミ子なるキャラクターが描かれ、携帯サイトで、彼女たちが登場する小説が配信され、一日で6万個が売れた。

 携帯電話で服や美容グッズを購入する“時代”の先駆けでもあり、その昔読んだ少女漫画誌に登場するセレブキャラのようでもあった紗羅や咲、ルミ子は、テレビ東京で全12話の連続短編アニメにもなった。

“元少女”のハートに刺さったコンセプトと売り方は、瞬く間に同品をヒット商品に押し上げた。

 芸能人や女優、モデルらが一斉にブログにアップしたことで知名度を劇的に上げた商品の先駆けでもある。まさに、そういう“時代”だったと本当に懐かしい。

「美肌一族」は、芸能人の他に、中野あおいさんや友利新さんら、テレビや女性誌でおなじみの美人女医が使用していたことでも知られていた。

 それはパッケージやメディア展開のみならず、中身が真面目に考えられ、作られていたからに他ならない。

 そんな伝説のシートマスクブランド「美肌一族」が10年の歳月を経て、「BIHADA ICHIZOKU」として新たに始動。パッケージに描かれていたコンサバでゴージャスなお嬢さま風イラストは、カッコイイ系の女性の線画に変わった。

 そのパッケージには、美容液の酸化を最大限に防ぐ特殊なアルミパウチが採用されている。

 商品は2種類あって、まずは、豊かな潤いと艶を与え、パッと明るい表情にさせる「BIHADA ICHIZOKU 極透潤生シートマスク美肌紗羅」。

 そして、元祖「美肌一族」ユーザーの“成長”に伴い、年齢肌を整えながらハリを与え、凜とした美しい肌に……をコンセプトにした「BIHADA ICHIZOKU エイジングケア生シートマスク朱音沢月」だ。

 キャラクターのイラストがガラリと変わったし、表記も漢字からアルファベットへと変わったので、パッと見では気が付かないのだけれど、よくよく見れば、10年前、10代後半から20代前半だった女性たちがもっとも愛用していた「美肌一族」の進化形。1枚500円、4枚で1700円という価格も有り難く、またも有名人らが続々ブログにアップし始めているところだ。

週刊朝日 2017年5月5-12日号

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山田美保子

山田美保子

山田美保子(やまだ・みほこ)/1957年生まれ。放送作家。コラムニスト。「踊る!さんま御殿!!」などテレビ番組の構成や雑誌の連載多数。TBS系「サンデー・ジャポン」などのコメンテーターやマーケティングアドバイザーも務める

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