【5】現役世代の「週末の寝だめ」は百害あって一利なし


 深夜まで残業や付き合い、朝は7時前に起きて出社──。働く世代の寝不足は今に始まったことではない。そんな寝不足を解消する決め手といえば、週末の寝だめだろう。NHK放送文化研究所の国民生活時間調査(2015年)によると、働く人の睡眠時間の平均は、平日が6時間56分に対し、土曜は7時間24分、日曜は7時間53分。寝だめをする実態が見て取れる。

 三島さんは、「この寝だめが問題」と忠告する。その背景にあるのは、最近言われている「睡眠負債」という新しい概念だ。

「睡眠負債とは、十分な睡眠が確保できないことで生じる“睡眠のツケ”のこと。確かに、寝だめにより平日の眠気や倦怠感、パフォーマンスの低下は解消できます。ですが、慢性的な睡眠不足で血糖の調整が狂うなど、体への負担は軽くならないことが、これまでの研究でわかっています」

 つまり、土日の寝だめでは利息分は返せても、本質的な借金までは返せないということだ。しかも昼すぎに起きて、夕方近くに外出する行動は、夜の眠りを遅らせ、週明けの朝に起きられなくなる原因にも。先に述べたとおり、午後3時以降の太陽光や照明は体内リズムを狂わせるからだ。特に夜型に傾きやすい現役世代は禁物だ。

週刊朝日  2017年5月5-12日号より抜粋