これが「いちほまれ」。コシヒカリの強力なライバルとなるか
これが「いちほまれ」。コシヒカリの強力なライバルとなるか

 福井県は、実はコシヒカリの発祥の地なのだが、県内のブランド米はどれも残念ながら知名度が低い。そこで起死回生の米戦略に打って出た。

 福井県はポスト「コシヒカリ」として「いちほまれ」なる新しいブランド米を4月19日、発表したのだ。

「福井県と東京で同時発表しました。これまでこんなPRはしたことがない」(福井県農林水産部)

 この名称は、10万件を超える応募の中から選ばれた。

 全国的なブランド米といえば、新潟・魚沼産のコシヒカリがもっとも知名度が高いが、もともと1956年、福井県農業試験場が開発したのだという。

「けれど、新潟県が先に『奨励品種』にしたんです。福井県で育成したんですが、大きくしたのは新潟県だった。遅れて、福井県でも『コシヒカリ』を作っていますが、作付面積が新潟のほうが福井の数倍もあるのが現状」(福井県農業試験場・小林麻子主任研究員)

 ポストコシヒカリをめざし、品質も価格も「最高グレードをめざす」(西川一誠知事)という。

 発表会ではスーパー経営者や料理人、議員、マスコミ関係者が試食。福井県生まれの本誌記者もさっそく食べてみた。

 つやつやしてうまい!

 福井県農業試験場で中心になった5人の開発者の一人で味覚担当の町田芳恵さんに理由を聞いた。

「20万種の中から4年間で4つにまで絞りました。私が一番おいしいと思った品種が『いちほまれ』。5人の開発者の満場一致でした。他のお米の色と比べていただければすぐにわかるんですが、白さとつやが違います。やさしい甘さ、ねばっこい中にも粒感があるのが特徴です」

 福井県といえば「いちほまれ」となるか。(本誌・上田耕司)

週刊朝日  2017年5月5-12日号より抜粋