日立市や、象印マホービンの工場がある大阪府大東市など、家電品を扱うほかの自治体も見直しを考えている。全国の主な家電の返礼品価格を、本誌がネット通販サイトで調べたところ、寄付額の4~5割ほどが目立った。家電の返礼品が欲しい人は、寄付先を早めに考えたほうがよさそうだ。

 草津町の場合、寄付者の9割以上が「くさつ温泉感謝券」を希望する。1万円の寄付で5千円相当の券をもらえ、町内の旅館や飲食店などで使える。草津へ旅行する人にはかなりお得だ。町は2015年度に約8.7億円の寄付を集め、観光客誘致との相乗効果を得ている。ただ、返礼割合は今の5割から、3割ほどへ下げることを検討中という。

 見直しが始まったばかりの今こそ、まだ残るお得な品に注目したい。本誌は返礼割合が比較的高く、まだ申し込める主な返礼品と自治体を探した。

 高知県奈半利(なはり)町は1万円の寄付で、土佐名物カツオを丸ごと1本贈る。通販サイトで探すと、カツオ1本は1万円以上の品もある。

 岡山県総社市は米が人気だ。市の担当者は「買うと家まで持ち帰るのが大変ですが、返礼品だと自宅まで届き、人気のようです」という。兵庫県丹波市も3万円の寄付で計4回、季節の野菜を贈る定期便が人気だ。

 香川県三木町のオリーブ豚焼肉用は、肉質のよさと量が自慢。町の担当者は「他の自治体より魅力的な返礼品を生産者が研究して、提案してくれる」と話す。

 自治体はこうした魅力的な返礼品に知恵を絞り、寄付の受け入れ額を増やしてきた。返礼品を見直せば寄付も減る可能性が高い。ほかの自治体の動きもにらみながら、見直しを進める自治体が多いのが実情だ。

「今回の通知は急だった」「すぐには対応しない自治体も出てくるはず」など、担当者には困惑が広がる。

 返礼品はそもそも自治体がお礼として任意で贈るもの。総務省の通知は、強制力があるわけではない。

 とはいえ、通知には「(見直し状況を)今後、随時把握する予定であることを申し添えます」とプレッシャーの文言も記されている。

 減税対象の寄付枠が15年に2倍に広がり、急拡大したふるさと納税。その後の過熱でブレーキが踏まれ、お得さを最大限享受できるのは今が最後かもしれない。早めの寄付が生活者の自己防衛策と言えそうだ。

週刊朝日  2017年5月5-12日号