(c)朝日新聞社
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編集部厳選、おすすめの自治体と返礼品
編集部厳選、おすすめの自治体と返礼品

 年末になると、駆け込みが増えるふるさと納税。実質2千円の自己負担で、各地の返礼品が届く魅力的な制度だ。ただ、あまりの過熱ぶりに、お得な返礼品を出す自治体に対し、総務省が“待った”をかけた。今年は年末を待たずに早めに動かないと、メリットが減りそうだ。

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「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」

 総務省が4月1日付で出した一片の通知を巡り、全国約1800の自治体がいま大きく揺れている。

 通知は、寄付(ふるさと納税)をした人へ贈る返礼品の“べからず集”だ。

・商品券や電子マネーなど金銭類似性の高いもの
・家電、家具、時計、楽器など資産性の高いもの
・寄付に対する返礼品調達価格の割合が3割超のもの
・価格が高額なもの

 こうした品は、「地域への経済効果等の如何にかかわらず」、まかり成らぬという。

 茨城県日立市など電機メーカーの城下町は家電も返礼品にしており、群馬県草津町など観光地は、当地で使える実質的な金券を寄付金の半額程度贈っている。そもそも、返礼品価格の割合は、全国平均で4割ほど。大半の自治体は通知に何らかの影響を受ける。「厳に徹底して頂くよう、お願いする」。高市早苗総務相は3月31日の会見で、こう念を押した。

 長野県伊那市は液晶テレビやブルーレイレコーダーなど高額返礼品を用意し、人気を集めていた。だが、3月末に寄付金の受け付けを休止し、返礼品を見直した。4月18日に再開したが、10万円以上の家電などを扱わないことに決めた。

 三重県紀北町は、町内の観光施設や飲食店で使える「ふるさと納税感謝券」が返礼品だった。しかし、4月から新規受け付けを中止。こうした返礼品の見直しは、全国各地で広がっている。

 一方で、急に対応できる自治体ばかりではない。

 年間通した返礼品カタログをつくっていたり、今年度の予算で返礼品の調達費用を見込んでいたり。地方の小規模自治体ほど、ふるさと納税は、返礼品の提供業者を巻き込む一大事業になっている。寄付金が入って地元産品もPRできるメリットが大きいだけに、簡単にブレーキを踏めない。

 長野県飯山市は、ノートパソコンなどの電子機器も返礼品。担当者は「なるべくなら、(取り扱いを)やめたくない」と吐露する。市内の工場で組み立てられた製品で、地域経済への波及効果が大きいからだ。総務省の通知に従う方針ながらも、「事業所との調整もあり、4月中の対応は難しいのではないか」という。

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