大学病院で実施された高校生の手術体験 (c)朝日新聞社
大学病院で実施された高校生の手術体験 (c)朝日新聞社
東大の入学式 (c)朝日新聞社
東大の入学式 (c)朝日新聞社

 大学合格者数高校ランキング「医学部に強い高校」をお届けする。医学部に強い高校は? どんな特徴があるのか? 政府の方針に左右される医学部入試の行方も探った。

 今春、千葉県成田市に国際医療福祉大医学部が開設された。学費が私大のなかで最低水準なのに加え、英語で数多くの授業をするなど、国際性豊かな医師を育てていく方針という。

 昨年春には特例として、東日本大震災の復興を理由に東北医科薬科大(宮城)でも医学部が新設された。それ以前の医学部設置は1979年の琉球大までさかのぼることから、2年連続は異例となる。

 新設が相次ぐ背景の一つには、医師不足が社会問題として深刻化したことがある。

 2000年代以降、救急患者のたらい回しや過疎地での医師不足などが広がり、「医療崩壊」と呼ばれる事態になった。対策として、政府は08年から医学部の定員枠を増やし始めた。17年の医学部定員は9420人で、07年と比べて1795人増えた。

 医学部をめざす受験生からみれば、定員が増えると入試の倍率が下がって競争が緩やかになる、と明るい材料のはず。ただ、医学部入試の狭き門は変わらないのが実情のようだ。

 駿台予備学校の第2回駿台全国模試の結果によると、東大理IIIの95年の合格ラインは偏差値72だったが、15年は78に上がっている。地方国公立大も同じ傾向で、奈良県立医科大は60が68になった。私大医学部の変化はさらに顕著だ。東京慈恵会医科大は偏差値56から74に、順天堂大は偏差値58から68に急上昇している。

 教育情報を提供する「大学通信」の安田賢治ゼネラルマネージャーはこう話す。

「医学部の志願者数は15年から減少に転じ、ブームは落ち着き始めた状態です。一方で、学力レベルの高い層が医学部をめざす傾向は変わりません。どの大学の医学部も、入試難易度は高止まりしています」

 優秀な受験生たちは、なぜ医学部をめざすのか。駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんは、こう分析する。

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