志願者数トップの近畿大の入学式 (c)朝日新聞社
志願者数トップの近畿大の入学式 (c)朝日新聞社

 少子化が進み、より好みしなければ誰でも入学できる「大学全入時代」。だが、私大入試は激戦の時代に突入している。

下記は、2017年度入試で志願者数の多かった私大のトップ30をまとめたものだ。30校中28校が前年度の志願者数を上回った。

 駿台予備学校の「2017年度入試状況分析」によると、全国の私立大の最終的な延べ志願者数は、11年連続で増加することが確定的という。

 4年連続1位の近畿大は、志願者数が10年間で約2.1倍に増えた。エリア別にみると、関東、東海、北陸などからも多くの受験生を集め、各地域とも前年度比約3割の伸びを記録した。

 2位の法政大は前年度比17%増、6位の東洋大は同19%増と、ともに躍進した。初の10万人台に乗せた東洋大は、情報連携学部など三つの新学部が設置され、数字が大きく伸びた。

 大幅増の大学が増えた背景には、政府の「定員厳格化」の方針がある。都市部の大規模大への学生集中を抑えるためなどとして、政府は私学助成金の交付基準を厳しくしている。

 定員数が8千人以上の大規模校の定員充足率(定員に対する入学者の割合)は、従来1.2倍が基準だった。それを16年度は1.17倍に、17年度は1.4倍に引き下げた。3位の早稲田大は志願者数が前年度より6944人増えたが、合格者数は約1700人減っている。

 教育情報を提供する「大学通信」の安田賢治ゼネラルマネージャーはこう話す。

「私大の難化が早くから予想されていたため、受験生は併願校数を増やし、私大の志願者数は約8%増えました。定員厳格化は今後も続き、18年度は1.1倍(大規模校の場合)まで引き下げられる予定です。難関私大に合格できない受験生が増えれば、GMARCHや中堅私大の難易度も上がりやすくなるでしょう」

 競争激化は受験生の意識もあるという。駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんは言う。

「現役志向と地元志向が近年指摘されてきましたが、変化しています。雇用環境が改善し、知名度の高い私大の文系学部の人気が高まり、受験生は大学選びで妥協しなくなった。『浪人してもいいので希望の大学に』と考える親も増えている」

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