津田大介「メディア事業者が負うべき社会的責任とは」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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津田大介「メディア事業者が負うべき社会的責任とは」

連載「ウェブの見方 紙の味方」

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日本最大のレシピ検索サイト「クックパッド」がやり玉に挙がった(※写真はイメージ)

日本最大のレシピ検索サイト「クックパッド」がやり玉に挙がった(※写真はイメージ)

 懸念すべきはクックパッドの社会的影響力だ。同社の最新のIR資料を見ると月次利用者数は6327万人。日本人の2人に1人が利用していることになる。それだけ閲覧数の大きいメディアに一部とはいえ人体に危険を与える情報が掲載され、チェック体制が十分でないことが明らかになった。今後、同社に求められるのは「必要に応じた注意喚起」ではなく、すべてのレシピを栄養士ら専門家にチェックしてもらった上で掲載する体制の構築である。同社の2016年の営業利益は約50億円。決して払えないコストではないはずだ。

 専門家による監修をせずに不確かな医療情報を発信していた「WELQ」は、運営元のDeNAの社会的信用を大きく失わせた。第三者委員会による検証を経た後の記者会見で、守安功社長は「情報の質の担保という本来メディアの事業者として行わなければいけなかった点が不足していた」という認識を示した。つまり、DeNAはユーザーの投稿を手伝うプラットフォームではなく、自らを情報発信する主体──「メディア事業者」と位置づけたということだ。

 扱っている情報が生命に関わるという重大性、利用者の多さ、上場企業という公共性を考慮すれば、クックパッドも自らをメディア事業者として位置づけるべきだ。誰もが簡単に情報を発信できる今の時代だからこそ、影響力の大きなプラットフォーム事業者は、情報の内容について社会的責任を負わなければならない。

週刊朝日  2017年4月28日号


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津田大介

津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『情報戦争を生き抜く』(朝日新書)

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