FRB保有資産縮小で為替はどうなる? フジマキの読みは…
連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」
問題は、日本銀行だ。資産規模縮小どころか、第1段階のテーパリングさえも実行できない。国債市場で、日銀は余りにも存在が大きくなりすぎた。FRB、ECB、BOE(英国中央銀行)の比ではない。
日銀が国債購入をやめてテーパリングを始めれば、長期国債は急落する。FRBのように売りにまわるとなれば、国債価格は大暴落(金利暴騰)のはずだ。
16年、米国債は2兆1680億ドル発行され、FRBが約1割の2040億ドル分を購入した。日本では現在、売りに出される国債約150兆円のうち、日銀が8割の120兆円を買っている。1割分の国債購入を減らすFRBでさえ、国債市場への影響を抑えるために満期を待ちながら資産規模を減らすという。8割の日銀は、金融緩和の出口をどう探るのだろうか?
日本でもテーパリングを始める際、金融緩和をやめると主張する日銀と、「政府の資金繰り倒産回避のために続けろ」という政府の間でバトルが始まるだろう。これまでに、このコラムでそう書いてきた。加えて、日銀が保有国債を売り出す、などと言いだしたら、政府とのバトルはより激しくなる。まさに、「ハブとマングースの戦い」だ。
国会の論戦が森友学園問題に集中している間にも、日本の財政問題は一段と深刻化している。
※週刊朝日 2017年4月28日号
藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中
おすすめの記事
あわせて読みたい