つまり、捕まえてすぐに駆除や冷凍する場合には、許可はいらないことになっている。ただ、駆除や冷凍までにどのくらいの時間を過ぎれば許可が必要になるのか、明確な基準はないという。

 環境省の自然環境局動物愛護管理室の担当者もグレーゾーンがあることを認める。

「許可が必要かどうかは都道府県ごとの判断になる。時間などの具体的な基準はありません」

 こうした現状に、弁護をした新紀尾井町法律事務所(東京)の江口大和弁護士は警鐘を鳴らす。

「法の中で『飼養』が定義されていないのが問題です。捜査機関が恣意的な解釈、適用をする危険性がある。定義がなかったことが眞喜志さんの不当逮捕を生んだと考えています」

 31年にわたってハブを捕ってきた眞喜志さんは、いまは許可を取得し、これからも続けるという。

「法律がもう少しわかりやすければ、逮捕されることはなかった。私のほかにもハブを捕っている人はいるが、許可について知らない人は多い。なぜだかわからないまま、いきなり捕まる恐れがあるんです」

 1年で2千匹以上も捕る名人が、警察に捕まった今回の一件。身柄を拘束された本人にとっては、しゃれにもならない深刻な問題だ。許可の基準の明確化や捜査機関の慎重な対応を促すきっかけにしないと、今後も「捕まる」人が出かねない。

週刊朝日  2017年4月28日号