この先100年は現れないスケーターなのでは。あんなにうまくて強くて美しくて、人々の心をつかめて。アスリートとしての生き方を見せてくれた。自分自身のアナウンサー人生も豊かにしてくれた真央さん、ありがとう。

<礼儀正しくて明るい女の子だった>
伊藤三郎 名古屋スポーツセンター

 第一印象は礼儀正しくて明るい女の子。大須スケートリンクで練習を始めたころから、私を含めセンターの全員が感じていたことです。これは、ご両親や山田満知子先生の影響が大きいと思います。

 引退に関しては、記者会見を見て、本当に本人が納得したタイミングだったんだな、と思いました。

 真央さんは休養期間中にプライベートで、スケートができない友人と一緒に、リンクに遊びに来てくれたことがありました。その時は一般の人と同じように受付でチケットを買って、その後、事務所にもあいさつに寄ってくれました。

 さすがに帰り際にはサイン攻めにあっていましたが、全員に快く接していたのを覚えています。本当にお疲れさまでした。

<みんなこれ以上苦悶する姿は見たくない>
やくみつる 漫画家・テレビコメンテーター

 全盛期にずれはあるものの、羽生結弦選手と浅田真央選手が君臨した時代というのは、向こう100年は出現しないでしょう。

 究極のフィギュアスケーターの双璧が並び立った時代。スケーターとしての実力もさることながら様式美において、この2人は究極です。より完成に近いところまでいったという点で、浅田真央はなかなか超えられない。理想像になると思います。

 何年か前に私が言ったのは、「全て曲線で構成されている」。鋭角的なところがないんです。額の生え際のライン、柳眉(りゅうび)のところ、笑った時の目の感じ、首から肩の線とか。全て曲線で構成されている美しさです。これは、ありそうでない。

 見た目以外でいえば号泣しない。ぐっとこらえて、なお泣いちゃうという抑制の美、これがけなげに映る。直線的な感情表現はしない。ここが美しい。

次のページ