都内で働く50代男性は、2年前にビズリーチを使って転職した。医療関連企業からコンサルタント会社に、管理職として迎えられた。

「何度か転職したが、サラリーマンとしてのやりがいを一番重視している。マーケティングを通じて良い製品を消費者に届けるのが自分のやりたいこと。待遇はあまり変わらなかったが、いいタイミングで今の会社に巡り合え、これまでの経験も生かせる仕事を選べた。転職を決めるにはいろんな要素があるが、最後は『ご縁』だと思う」

 縁をつかむには、努力も必要だ。男性は、ビズリーチのようなサービスに複数登録しているという。

「自分に合った仕事があれば、ヘッドハンターから連絡がある。そのとき転職する気がなくても声がかかるが、アンテナを常に張っておくことに意味がある。自分がやりたいことと、会社が自分に求めていることをできるだけ一致させようと、転職するケースは増えてくると思う。年齢が上がると希望の仕事を見つけることは難しくなるが、サービスを利用することで確率を上げることはできる」

 ネットの支援サービスは、地方の企業や転職希望者にとっても便利だ。

 茨城県で大手生命保険会社の営業所長をしていた荻津正志さん(40)も、ビズリーチを利用した一人。転勤を前提とした社内でのキャリアアップよりも、地元で仕事を続けるために転職先を探した。首都圏で写真館やブライダル施設を運営する「小野写真館」(茨城県ひたちなか市)に、営業本部長として15年に移った。

「もともと転職願望は強くなく、給料がいい大手生保で定年まで働く選択肢もあった。地元に愛着があり、家族と一緒に暮らし続けるためにもビズリーチに登録した。事業を拡大していた小野写真館の面接を受け、社長の熱意を感じてこれから伸びると思って決めた。待遇は下がったが、成長性が期待できる企業に入れて満足だ」

 荻津さんは転職後、人材採用にも関わる。ビズリーチを使うことで、新たに管理職を採用できたという。

「ネットの転職サービスは、大企業の幹部らハローワークを通じてでは見つけにくい人につながっている。全国から人を集められるため、本社が地方にある企業が、優秀な人材を獲得する手段になっている」

週刊朝日  2017年4月21日号