わずか6文字の“マクラ”がウケた! 春風亭一之輔の枕とマクラの話 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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わずか6文字の“マクラ”がウケた! 春風亭一之輔の枕とマクラの話

連載「ああ、それ私よく知ってます。」

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一之輔の枕の匂いを嗅いだ長男のリアクションとは? (※写真はイメージ)

一之輔の枕の匂いを嗅いだ長男のリアクションとは? (※写真はイメージ)

 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は、「枕」。

*  *  *
 私の枕が臭い。無精なもんで何日もそのまま。汗臭く、若干の黄ばみ、その上しっとりと湿り気もある。カバーを替えなきゃとは思うのだが、まぁいいか。別に寝ちゃえばわからないし、枕の匂いで死ぬわけじゃなし。

 気がつくと長男(小5)が私の枕に顔を埋めてクンクンと嗅いでいた。

「!? 何してるっ!?」

「いい匂いだ、パパの枕は……」

 と、アヘン窟の住人のような恍惚の表情を浮かべる息子。こいつヤバイな。というのは去年まで。今年に入ってからは、手のひらを返したように、

「パパの枕はもう嗅がないの?」

「誰が嗅ぐかっ!(怒) アセくさおっさんマクラっ!」

 寂しい。だんだん親離れしていくのだ。長男の成長を実感するが、下の2人の子供たちはかなり前から「ウンコくさジジーマクラ!」との激評を下していたので、長男の異常志向が真っ直ぐになっただけかもしれない。しかし「ウンコくさ」とはどういう言い草か?

 ご存じの通り、噺家が本題に入る前の導入を“マクラ”という。落語をより楽しんでもらうために大事な部分。早い話がつかみのフリートークである。

 最近、“マクラ”も危うい。ありがたいことに年間バカみたいに高座に上がっているので、毎度毎度何を喋ったらいいのかわからなくなってきた。

 小噺・時事ネタ・身の回りの出来事・それにまつわる自分の思いや意見などをまとめてマクラにするのだが、これがなかなか苦労する。

 適度にウケて、すんなりと落語に入れるマクラが「よいマクラ」だと思うが、難しい。何となく「こないだウケたから、今日も……」とルーティンなマクラでお茶を濁す。まぁまぁウケる。しかし、自分の中の鮮度は落ちる。無精で怠け者なので、新たなマクラに踏み込むのが億劫。億劫がってるうちに次の高座。あー、また同じマクラ。こうなりゃいっそのこと面倒な“マクラ”も“枕”もなくていいか、と思う。


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