「狭心症は動脈硬化などで徐々に血管の内側が狭くなる病気。一方、心筋梗塞は血管内にあるプラークがある日ドンと破裂し、血栓が詰まって発症することが多い。血管が狭くなっていなくても起こり、胸が苦しいという狭心症のような兆候がなく、突然起こることが多い」(同)

 心筋梗塞のリスクとなると言われているのが、悪玉のLDLコレステロールだ。LDLを回収する善玉のHDLコレステロールも健診項目に含まれているが、高沢さんはプラークを作る直接的な原因であるLDLを減らすことに注力したほうがいいという。

「LDLコレステロールを下げる方法として、以前は肉や卵などのタンパク質を控えていました。しかし、コレステロールの材料はタンパク質に限らず、脂質、炭水化物からも作られる。重要なのは摂取カロリーを下げること。LDLコレステロールは運動で減らしにくいので、暴飲暴食を慎んで140mg/dl以上にしないことです」(同)

■生かし方(4)健診データは捨てずに保管しておく

 データの生かし方で最も重要なのが、経年変化を知ること。毎年受ける健診の結果をしっかり保存、管理しておくことが大切だ。これについては、前出の渡辺さんが説明する。

「経年変化でわかるのは、“その人のいつもの値”。数値が多少高めでも、ずっとその値を維持していたら大きな問題がないといえる。逆に低めでずっと推移していた人が、あるときの健診で高めに出たら、基準範囲内でも何か問題があるのでは、と考える必要があります」

 徐々に上がっていく数値の場合、その傾向を追えば、今後、どれくらいで基準範囲を超えるかも推測できる。対策も可能だ。

■生かし方(5)「B判定」は生活を変えるチャンス

 受ける健診の種類によっても異なるが、多くの場合、A~Eの判定結果が示される。一般的にはC判定から保健指導が入るが、「むしろB判定の段階から生活習慣を変えたほうがよい」と提案するのは、前出の津下さんだ。

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