「飲みすぎて悪いということはないです。嗜好品として飲む形であれば、飲みたいだけ飲んでください。ただし、実際にはものすごく飲む人でも5杯から10杯。現実的な量で、ということです」

 また大森氏によれば、緑茶に含まれているカテキンは、がんの抑制や認知症予防にも効果があるとされているという。

「がん細胞を植え付けたネズミによる実験で、緑茶を飲ませたほうが発がんしなかったんです。加齢による衰えを調べるために迷路の出口に餌を置いた実験では、飲ませていないネズミは出口まで来られなかったんですが、飲ませたほうはちゃんとたどり着くといった結果が出ています」

 カテキンにはコーヒーに含まれるクロロゲン酸と同様に抗酸化作用があるため、体によいとされる。バランスのいい摂取方法はあるのだろうか。

「体に吸収されるカテキンの量は飲んだ量の約100分の1です。ですので一気に大量の茶を飲むのではなく、1日に何度もこまめに飲めば、成分を効率よく吸収できます」(大森氏)

 緑茶のいれ方にもコツがあると大森氏は力説する。

「お湯の温度によって成分のバランスが変わってくるんです。カフェインは熱湯でしか溶け出しませんが、カテキンはぬるま湯でも溶けます。ですので、カフェインを抑えてカテキンをとりたければ50度ぐらいのぬるま湯でいれるのがいいです。味も温度によって変わりますから、なんでもかんでも熱いお茶というのではなく、おいしいいれ方を探してほしいですね」

 コーヒーと緑茶。どちらも共通して言えるのは「1日にほどよい量」を「好んで飲む」のが肝要なようだ。澤田氏は言う。

「私たちのデータは無理やり飲むことをおすすめするものではないです。飲んでいればよい効果があると言えますが、人それぞれの適量があると思いますし、普通に飲んでいただくのなら害はないと言えますね」

週刊朝日 2017月4月21日号