健診の結果は大切に取っておいて、経年変化をみることが重要だ
健診の結果は大切に取っておいて、経年変化をみることが重要だ

 健康診断は定期的に受けているが、数値をどう見たらいいかわからない。結果が送られてきてもそのまま。そんな人が意外と多いのではないだろうか。健康診断は受けっぱなしではもったいない。健康寿命を延ばすヒントが詰まっているのだ。

 宮城県在住のカズオさん(仮名・71歳)は、昨年8月から、ほぼ毎日飲んでいたお酒を控え、2日に1度、休肝日を設けるようになった。自治体の行う健診で、肝機能の状態を示す検査の一つ、γGTPが285IU/リットルと、成人男性の基準範囲である10~50IU/リットルより高かったためだ。

「γGTPが高いから節酒したほうがいいというのは、現役のころから言われ続けていたこと。年金生活になり、年齢のこともありますし。それで意を決しました」

 とカズオさん。昨年11月、健診を受けたところ、数値は当時の4分の1にあたる66IU/リットルに。基準範囲よりは若干高いものの、この劇的な下がりように当人も「うれしいびっくりです」。毎年のように健診データをチェックし、酒を控えるよう注意していたかかりつけ医も、今回の数字には驚いたという。

 超高齢化を迎えた今、誰もが健康で長生きしたいと思っているはずだ。その第一歩は、自分の健康上の弱点を知って、対策をとること。その手段こそ、身近な“健康診断”だ。

 健康診断には大きく分けて、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の発症予防を目的に実施されているものと、主にがんの早期発見のために行われる「検診」とがある。自治体や職場で受ける健康診断や個人で受ける人間ドックでは、それらが一緒になっている。

 これらの健康診断、人間ドックに必ずと言っていいほど含まれているのは、「特定健康診査(以下、特定健診)」だ。2008年度に導入された制度で、メタボリック症候群の発見に焦点を当てている。将来的に脳卒中や心臓病などが発症するリスクが高い受診者には、特定保健指導が行われる。

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