PTAの体質は変わるのだろうか (※写真はイメージ)
PTAの体質は変わるのだろうか (※写真はイメージ)

 生徒のために組織した任意団体であるはずのPTAに今、強制参加や非効率で時間の使い方に無駄が多いといった内情から不満が噴出している。こうした状況で何十年も変わることなく存続してきたPTAを“ブラックな組織”と位置づける人たちが多くいるほどだ。しかし数年ほど前から、改革や改善に向けて声を上げて動き出す人も出てきている。

 小学校のPTAの加入を巡って、本市で訴訟に発展したニュースは記憶に新しい。

 熊本市の岡本英利さんは、約3年前に小学校のPTAを相手取り、強制加入させられたのは不当だとして、会費など約20万円の損害賠償を求める裁判を起こした。

「PTAの入退会は任意だという説明も受けないまま、子供経由で渡された冊子を受け取ったら自動的にPTA会員にさせられた。そんな強制加入システムはおかしいし、詐欺と同じです。どんな会や組織でも、会員になる場合は申込書や契約書を書きますからね。退会届を出して断られたことも、任意団体ではありえないことです」

 岡本さんが、さらに不信感を募らせたのは、PTA会費の決算書の内訳だった。「具体的な明細がない使途不明金をはじめ、100万円以上の繰越金や周年記念事業の積立金が200万円以上もあって、いったい何に使うのだろう?と。会費を払う側は、損失でしかないと思いました」

 そこで訴訟に至ったこの裁判は、今年2月に和解した。しかし岡本さんには不満がある。

「こちらは和解条項の要望書で、加入や退会の手続きが『義務規定』であることを主張しましたが、『努力規定』で決着をつけざるを得なかったことは悔やまれます。しかし、PTAが入退会自由な任意団体であることを広く知らしめて、今まで黙っていた反PTAの人たちが声をあげるきっかけになったので、この裁判は私が負けたとは思っていません」

 PTAの体質は変わるのだろうか。執筆や講演活動を通し、変化の必要性を訴えるのは『PTAをけっこうラクにたのしくする本』の著者・大塚玲子さんだ。PTAが問題視されるのは、主に強制的、母親偏重、活動内容や活動時間の非効率性の三つだという。

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