(3)他の鉄道会社線と競合する一部区間では特定の安い運賃を設定しているため、その境界駅で分割した場合に割安になる場合がある。

 少々ややこしいが、「特定区間」なるものが存在し、距離と運賃は必ずしも比例していないようだ。ちなみに、今回の乗車実験では、新富士より手前の駅を目的地にするとどのくらい安くなるか試算してみたのだが、小田原では310円、熱海では300円、三島では40円という結果になった。

 ただし、切符を分割購入するという方法はJRとして公式には案内しておらず、あくまでも目的地までの切符をとおしで購入するのが原則とのこと。とはいえ、自動券売機を使って分割購入することは自由だし、窓口でも客が申し出れば問題なく発券してくれるという。

 また、JRの回答にもあったように、競合路線が存在する区間をはさむと、分割きっぷでさらにメリットが出る。

 一例を挙げると、京成、京急、都営地下鉄が競合する成田空港~横須賀間(千葉、東船橋、新小岩、田町で分割)は、2590円が2130円(差額460円)に。京阪、阪急、阪神、神戸高速、山陽電鉄などが競合する、大津〜姫路間(京都、大阪、三ノ宮、朝霧、東加古川で分割)は、2590円が2110円(差額480円)、名鉄が競合する岐阜〜豊橋間(名古屋、岡崎、三河塩津で分割)は、1940円が1650円(差額290円)の節約ができる。

 一方、移動区間によっては、分割すると逆に高くなるケースもあるので要注意だ。調子に乗って北海道の稚内駅から鹿児島中央駅までの分割きっぷの試算をしてみたが、まったく意味はなかった。分割きっぷのメリットが最大限に発揮できるのは、大都市圏周辺。定期的な病院通いや帰省、仕事などで同じ区間を頻繁に通う場合は、分割きっぷを回数券や定期券で購入すれば、さらに安くなる(通学定期は不可)。

 春休みのJR旅といえば、「青春18きっぷ」が断然お得だが、この切符の弱点は特急や新幹線に乗れないこと。この点では、少々強引かもしれないが、分割きっぷに軍配が上がるかもしれない。

次のページ