以上を合計すると、2980円。つまり「行き」の3350円と比較すると、片道でなんと370円も安くなった。その差額でおにぎりとお茶を買うことができるのだ。仮に家族5人で移動すると、往復3700円の節約になる。

 さて、帰りは駅員にどんな顔をされるのか、ちょっと不安ではあったが、新富士駅の改札口で「分割きっぷで~す」と、クリップで挟んで5枚まとめた切符をにこやかに手渡してみた。すると、「ハイハイ」と言ってすんなり受け取り、5枚を順番にささっと確認して通してくれた。

 次は新幹線の改札口だ。さすがに特急券+5枚の乗車券を自動改札に一気に挿入するのは躊躇(ちゅうちょ)したため、有人改札口で駅員に尋ねたところ、ここでも対応はごく普通で、

「新富士から小岩までの切符3枚と特急券1枚を重ねて入れてください」

 とのこと。指示どおり4枚重ねて自動改札に入れ、難なく新幹線に乗って家路についた。

 購入時に少し手間がかかるが、それを除けば通常とほとんど変わりなく移動でき、さらに節約もできることを実証できた。

 ただひとつ、切符を見比べて気づいたのは、とおし切符は「2日間有効」だったが、分割のほうは、1枚を除き「1日間有効」だったことくらいだろうか。

 では、乗車券を分割購入するだけでなぜこのように運賃が安くなるのか? JR東日本に聞いてみたところ、三つの理由が影響しているとのことだった。

(1)JRの運賃は、営業キロが11~50キロは5キロごと、51~100キロは10キロごとというように、一定のキロ区分ごとに定められている。そのため分割購入した場合の算出に用いる営業キロの合計が、通しで購入した場合よりも小さくなり、割安になる場合がある。

(2)乗車区間によって1キロあたりの運賃が異なることがある。たとえば利用客の多い首都圏で山手線を含む「電車特定区間」は賃率が安くなっており、二つ以上の運賃種類が存在する区間をまたがって利用する場合は、全区間高いほうの運賃によって計算される。このため、境界の駅で分割した場合に、通しで購入するより割安になる場合がある。

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