さらに、衣料品の販売手法の見直しや、自社のブランド力向上など大西氏が取り組んだ改革が停滞するのではないかとも危惧する。

「変革には必ず抵抗者がいて、足を引っ張ろうとする。大西社長は現場の若手を登用していた。現場とトップをつなげる、日本企業の強みのはずの中堅幹部が逆に保守的になり、抵抗勢力となったのではないか。不採算店舗の整理は避けて通れず、反発しても仕方ない。このままでは最大手百貨店の経営が内向きになり、業界がさらに落ち込む」(一條氏)

 真相を知るべく、大西氏や石塚氏への取材を三越伊勢丹HDに申し込んだが、広報担当者は「一律にお断りしている」という。両氏とも6月の株主総会で役職だけでなく取締役も退任する予定だが、「顧問」などその後の肩書は決まっていない。

週刊朝日  2017年4月7日号