それが認知症の兆しか性格かの見極めは、専門医による診断が必要。だが、症状によっては、チェック項目のほかにも、具体的な注意点がいくつかある。

 例えば普段から料理をよくする人の場合、その完成度が一つの指標になる。

「料理は下準備や味付けの調整など細かい工程を積み重ねる作業。これまでの“加減”が崩れ始めると、完成品に変化が表れやすい。味付けであれ?と思ったら、料理の過程を一緒に見るだけでも発見があるかもしれません」(柴山さん)

 また、長めの尺の番組を見られなくなるのも要注意。展開についていけず、途中で見るのをやめてしまう傾向もあるという。

「テレビを見ながら、“今のってどう思う?”など、ちょこちょこ会話を振ってみて。するとストーリーをきちんと追っているのか、単に景色として眺めているのかがわかります。初期の発見で大事なのは、どれだけ意図的に観察できるかです」(同)

【軽度行動障害(MBI)チェックリスト】
■物事への意欲や関心
1.家族や友人、家事など、これまで大切にしていたものへの関心が失せてきた
2.これまで関心を持っていたことに好奇心を示さなくなった
3.自発性や行動性が乏しくなってきた
4.モチベーションが低下してきた
5.愛情や興味を持ちづらくなってきた
6.物事に対し、あまり注意を払わなくなった

■気分や不安の兆候
7.気分が落ち込みがちで、悲しみが増しやすくなった。涙もろくなった
8.喜びを表しにくくなった
9.将来を悲観しがち
10.これまで当たり前だったことに対しても、以前より不安が強く心配しがち
11.リラックスできず、動揺したりパニックの兆候があるなど、神経質になりがち
物事を楽しめるかどうか、衝動や行動を自分で制御できるか
12.嫌なことを言ったり、怒りっぽくなることが増えた
13.理不尽に論争的になりがち
14.考えなしに行動したり、衝動的になりがち
15.性的な制御が利きづらくなり、これまでより妙に積極的になった
16.欲求不満を抱えがちで、我慢が利かなくなった
17.運転中、今までになく無謀になりがちで、適切な判断をしづらくなった
18.頑固になったり、融通が利かなくなりがち
19.食べ過ぎたり、決まった料理以外を口にしなくなったり、食事の仕方が変わってきた
20.食べ物の味が分からなくなったり、味を楽しめなくなった。食事の量が減った
21.これまでになく物をため込みがちになった
22.一つのことを繰り返すようになったり、強迫的に反復しがち
23.たばこ、酒、ドラッグ、ギャンブル、万引きなどのトラブルが生じた

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