「『ほらね!』と言いました(笑)」
同性だから仲よく盛り上がる話題もある。それは世界史の勉強に生かされた。
「あまり聞いたことがないカタカナって覚えにくいですよね。『イギリスの詩人・バイロンはイケメン』など。女同士だからの会話も楽しみつつ覚えました」
万全を期して迎えた入試は、数学が易しく感じられたため、戸惑ったという。
「どこで差がつくか、合否がいつものように読めず、ちょっと心配でした」
心配は杞憂に終わり、無事合格。その後、2人でゆっくり買い物に行ったとき、佐藤さんは長女の成長を感じたという。
「選んだ靴がスニーカーではなくヒールで、洋服も今までより大人っぽくなってて。大きくなったなあって。楽しい大学生活を送ってほしいと思いました」
26年間、子育てを最優先してきた佐藤さん。長女の大学進学で、子どもの勉強サポートも「卒業」だ。
「長男を出産してから常に子どもを抱える生活が続き、長女が幼稚園に入園したときは、スキップしたい気持ちになりました。今はそのときと同じ気持ちです」
と晴れやかな笑顔を見せる。今後は、映画や読書、京都や奈良の神社仏閣めぐりなど、自分のために時間を使いたいという。
「子育てや受験に悩む親は多いと思う。機会があれば、私の経験を話し、お役に立てたらうれしいですね」
※週刊朝日 2017年3月31日号