甲子園で春夏通算48勝を挙げる馬淵監督は初戦に強く、20連勝の記録も持つ。清宮にとっては最も対戦したくなかった学校、いや敵将かもしれない。

 5打席連続敬遠の時、まだ誕生していなかった清宮は、映像や書籍で抱いた馬淵監督の印象をこう語る。

「野球の知識や経験が豊富な監督さんで、場面に応じた策をたくさん持っている印象です。明徳さんはセンスのある選手が集まっている。初戦は、どんな大会でも難しい。競った良い試合になると思います」

 くしくも清宮対馬淵の構図となった一戦は、平日の開催となるが、甲子園には大観衆が訪れるだろう。馬淵監督は、引き揚げる際に、こんな言葉を残した。

「いやーワクワクするなぁ。うちの主将には『(抽選会で)絶対に早実は引くなよ』と言っておったんですけど、ほんまに引きよった(笑)」

 駆け引きは続く。(柳川悠二)

週刊朝日 2017年3月31日号