セブン「地域別肉じゃが」で販売数2倍に 意外と知らない“食の県民性” (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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セブン「地域別肉じゃが」で販売数2倍に 意外と知らない“食の県民性”

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牛肉も地域性豊かな食材だ (c)朝日新聞社

牛肉も地域性豊かな食材だ (c)朝日新聞社

 食文化の歴史に詳しい飯野亮一さんによると、江戸時代、マグロは大量に取れ、安価で庶民に愛された。一方で、関西ではマグロは「下卑の食」とされ、瀬戸内海で取れたタイやヒラメが好まれたという。

 マグロの購入額1位の静岡市は納得だが、3位がなぜ甲府市か。山梨県立博物館の植月学・学芸員によると、甲府は江戸時代、鮮魚を年間通して運べるぎりぎりの地だった。駿河湾で取れたマグロが運ばれ、ごちそうとして食べられるようになったという。

『出身県でわかる人の性格』などの著書がある出版プロデューサー、岩中祥史さん(66)はこう指摘する。

「甲府では海に対する憧れがあります。マグロはおもてなし用の贅沢品で、最も敬意を表す手土産がアワビの煮貝。山梨で盛んな無尽(地域や職場の集まり)でも、マグロの刺し身はおなじみの品です」

 ほかに東西の差が目立つのは、食パン。上位5市は近畿など西日本ばかりだ。

 岩中さんは「食パン、コーヒー、紅茶はセットで考えるとよい」と説明する。実際、3品目ともに大津市や奈良市がベスト5に入るなど、上位の地は似通う。

「16年はベスト5から外れましたが、京都市は食パンやバターの購入額が大きい常連。古都だが新しもの好きで、西洋文化をすんなり受け入れる。大津は近江商人で知られ、さまざまな品が交易された地。かつて都が置かれたこともあり、京都へのひそかな対抗意識があります」(岩中さん)

 コロッケの購入額でも、京都市が1位、大津市が2位と競う。上位は近畿だ。

「京都は人口あたりのフランス料理店が多い地と言われ、西洋料理になじんでいます。フランス人と京都人は頑固さでも見事なまでに共通します」(矢野さん)

 ソースも近畿や中四国など西日本が上位。東西の食文化の差は根強いようだ。

 コロッケ3位の福井市にも注目したい。一覧表にはないが、天ぷら・フライの購入額でも3位で、揚げ物好きの地。その理由を岩中さんはこう指摘する。

「福井は共働きが多く、スーパーにはコロッケなど手軽な総菜が多く並びます。北前船の交易で、じゃがいも産地の北海道と結びついてきた歴史もあります」

 矢野さんも「福井は繊維産業の地で、女性は働くのが当たり前。3世代同居が一般的で、用意する食事の量も多いから総菜は重宝される」という。食は歴史にも労働環境にも結びつく。

週刊朝日 2017年3月24日号より抜粋


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