名城大は16年、名古屋市のナゴヤドームそばにナゴヤドーム前キャンパスを新設した。今年4月からは岐阜県可児市にキャンパスのある都市情報学部などを移転させる予定だ。同学部の17年度の志願者数は前年度から6割ほど伸びた。

 キャンパス移転は、志願者を増やす“勝利の方程式”とさえ言われる。しかし、効果を持続させるのが難しい面もあるようだ。

 南山大は15年に理工学部を愛知県郊外の瀬戸キャンパスから、名古屋市の名古屋キャンパスへと移した。志願者数をみると、移転前の14年度の約2600人から15年度に約3200人と2割超増えた。一方で、16年度は約2600人、17年度は約2400人と移転前と同様の水準に戻っている。

 東京理科大の基礎工学部(2~4年次)も同様だ。千葉県の野田キャンパスから東京都の葛飾キャンパスへ、13年に移転した。移転当時は4千人超の志願者があったが、17年度は約3400人まで落ちている。

 実践女子大は14年、文学部などを東京都郊外の日野キャンパスから、都心の渋谷キャンパスへと移転した。14年度の文学部の志願者数は3割近く増加。しかし、その後は落ち込んでいる。17年度は約1700人と移転前の水準だ。

 河合塾教育情報部の富沢弘和部長は、キャンパス移転だけでなく、文系人気が高くて理系人気が低い「文高理低」など最近の入試傾向も影響するとみる。

■企業や地域と連携教育成果を情報発信

「移転後も志願者数を維持するには、移転後に何ができるようになったのか、教育成果を見せていかないといけない」
 
こう話すのは、リクルート進学総研の小林浩所長。
 
龍谷大は15年、国際文化学部を国際学部に改組して滋賀県の瀬田キャンパスから京都市の深草キャンパスに移した。龍谷大は「理念だけではなく、内容を伴った教育をわかりやすく打ち出している」と説明する。例えば、国際学部のホームページでは、「日本で一番勉強する学科」というキャッチコピーや英語教育の充実をうたうだけではなく、在学生のTOEICの点数分布なども公開した。学生の点数がどう上がったかの成果を示すのがねらいだ。

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