最新作「SPARK」が全米ジャズ・チャートで初登場1位に輝いた上原ひろみ。同じくニューヨークを拠点に活動する矢野顕子とピアノセッションしたニューアルバム「ラーメンな女たち」を3月8日に発売。コラボの秘話、年間150公演をこなす秘訣などを語ってくれた。
──「ラーメンな女たち ─LIVE IN TOKYO─」は矢野顕子さんとの2枚目のデュオアルバムですね。
一昨年、食事中の会話から始まった企画でした。
「2016年は、私、デビュー40周年なんだ」
この矢野さんの言葉から会話がはずみました。
「スペシャルなこと、なにかやるんですか?」
「せっかくだから挑戦しがいのあることやりたいな」
「40年のキャリアで一番大変だったことはなに?」
「それ、あなたが訊く?」
「えっ?」
「ひろみちゃんとのデュオに決まってるじゃない。またやる?」
その場で決まりました。前回から5年経ち、その年月分の二人の音楽的な成長が音にできたらいいな、と。
──選曲や編曲は?
曲は二人で選びました。私は矢野さんの「東京は夜の7時」や「飛ばしていくよ」など、矢野さんは私の「ドリーマー」をリクエストして。私は「こいのうた」という新曲も書いています。編曲は私の担当です。音域を被らせず、2台のピアノがポーンと鳴った時にオーケストラみたいに響くような多彩なアレンジができたと思います。あとは演奏当日の即興で、自分たちも想像していなかった化学反応が起きてほしい、と。
──なぜライヴ録音に?
矢野さんとは、スタジオよりもライヴのほうがいいコンビネーションになるんですよ。お客さんがいる環境が緊張感や興奮を生みます。デュエットに限ると、リスナーとしての私が好きなアルバムはライヴ録音がほとんどです。ハービー・ハンコック&チック・コリアの「イン・コンサート」とか、ジョシュア・レッドマン&ブラッド・メルドーの「ニアネス」とか。