東京特別区と政令指定都市の区別の人口増加率をみてみると、「都心の中の都心」ともいえる東京都千代田区や港区(写真)、大阪市中央区が上位だ
東京特別区と政令指定都市の区別の人口増加率をみてみると、「都心の中の都心」ともいえる東京都千代田区や港区(写真)、大阪市中央区が上位だ

 将来的に「消滅」の危機にさらされている自治体がある一方、大都市の中心部には人が集まり、地方でも若い世代を引きつける元気のいい街もある。

 勝ち組と負け組の二極化は、都心でも顕著だ。東京特別区と政令指定都市の区別の人口増加率をみてみると、「都心の中の都心」ともいえる東京都千代田区や港区、大阪市中央区が上位だ。

 こうした地域は、以前ならオフィスや商店街などが大部分を占め、住宅地は限られていた。中小企業の雑居ビルがたくさんあったが、近年ではマンションに変わってきている。都心は仕事をする場所で、住むなら郊外の「山の手」といったイメージは今は昔。都心のマンションのほうが、病院や文化施設も充実し、近くに遊んだり食べたりするところが多く、若者だけでなく高齢者でも都心に移る人が増えている。東京特別区でも都心から離れた足立、葛飾、江戸川、練馬区などでは伸び悩む。

 都心回帰の流れは住みたい街のランキングにも表れる。住宅情報サイト「SUUMO(スーモ)」の2016年版の調査では、「今後住んでみたいと思う市区」で、関東では東京都港区が世田谷区を抜いて初めてトップになったほか、渋谷区が順位を上げた。都心志向が強いのは男性で、職場への近さを求めているようだ。女性は世田谷区、文京区、神奈川県鎌倉市などの回答が目立ち、自然環境や教育面を重視している。

 関西では大阪都心への通勤が便利な、兵庫県西宮市や芦屋市の人気が高い。7位の大阪府吹田市は、JR大阪駅へのアクセスが良く、大型マンションの開発が進み、「ミリカ・ヒルズ」(633戸)と「ミリカ・テラス」(651戸)は「関西最大級の街づくり」とされ、40代以下を中心に順調に売れている。

 住みたい街ランキング17年版は近く発表される予定だが、都心志向は今年も続きそうだ。

 新しい一戸建ての住宅が立ち並び、公園や商業施設は親子連れでにぎわう愛知県長久手市は、日本で一番若い街だ。住民の平均年齢は38.6歳。人口の増加率も10.7%と全国6位。名古屋市とトヨタ自動車で知られる豊田市の間に位置し、どちらにも通える。市によると05年の愛知万博後に周辺の開発が進み、ここ10年で若い世代が急増したという。昨年12月に開業したイオンモールは、子供服やベビー用品の売り場が充実。今年中に東海地方で初のイケアが進出予定だ。

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