同社が2015年に個人投資家向けに行った調査によると、優待内容が投資判断に影響すると答えた人は8割以上いた。さらに保有株の株価が短期的に下がっても、優待が魅力的ならば持ち続けると答えた投資家が7割超いた。

「株価が多少下がって含み損が出ても優待を受け取り続けられるので、『塩漬け』中でもメリットがあります。その間に株価が回復する可能性もある。優待そのものを楽しめば、日々の株価の変動に一喜一憂しなくてすみます」(中村氏)

 同社が15年に実施した別の調査によると、優待制度を新設した企業の7割は、発表後1営業日後の株価が上がったという。「新設」の発表で個人投資家の買いを呼び、値上がり期待の投資家の買いも広がる。株価を動かす材料だ。また、優待ねらいの個人投資家は「株価が下がれば買い」と考えている人も多く、株価を下支えしてくれる存在でもある。

 新たな導入企業で最も多い優待内容は、クオカード。コンビニや書店、ガソリンスタンドなどで現金同様に使え、換金もしやすいので人気が高いという。

「企業向けビジネスが主体の会社は、個人投資家の知名度が低い。PRを兼ねてクオカードに社名や商品を印刷して優待に使う企業が目立ちます」(同)

週刊朝日 2017年3月10日号より抜粋