まず、1日の平均勤務時間は「8時間以上10時間未満」が43%と最も多く、次いで「10時間以上12時間未満」が23%だった。やはり、医師の勤務時間は短いとはいえないが、これは、当直勤務の影響が大きい。

 夜間の救急対応に備え当番医が病院に泊まり込みで待機する当直は、救急患者を受け入れる病院や手術の多い病院では必然的に回数が増える。診療科で言えば、救命救急科だけではなく、不慮の事故に対処することの多い整形外科や形成外科、病状が急変した場合に緊急処置が必要とされる脳外科、心臓外科、そして分娩に対応する産婦人科や医師不足の小児科なども多いことで知られる。

 さらに、24時間対応の病院では勤務時間外でも患者の急変などに対応するオンコール待機が回ってくる。精神的な拘束時間は純粋な勤務時間だけではないことを心しておこう。

 大学病院を辞めて地元で開業した、40代のある男性医師は、こう話す。

「仕事の面白さから言ったら大学病院だったが、当直がきつく、給料も安かった。勤務医は都心より地方のほうが人手不足で忙しいが、給料はアップする傾向がある。どの診療科でも、開業に踏み切る理由は生活の質と収入を求めた結果が多い」

 続いて、収入面。同書では、厚労省「医療経済実態調査」(15年)を基に、一般に「高収入」と言われる開業医の実態も調べた。

 それによると、医師全体に占める「開業医比率」と「開業医の年平均報酬額」のどちらも、眼科医がトップに立つ。年間報酬では、3千万円の大台に乗せている。超高齢社会を迎えて、眼科医の需要はさらに高まることが推測される。

【開業医比率】
1位 眼科医 64%
2位 皮膚科医 60%
3位 耳鼻咽喉科医 59%
4位 内科医 44%
5位 産婦人科医 41%

【開業医の年平均報酬額】
1位 眼科医 3273万円
2位 耳鼻咽喉科医 3005万円
3位 整形外科医 2942万円
4位 小児科医 2916万円
5位 皮膚科医 2778万円

 前述のメドピア調査では、勤務医を含めた医師全体に「平均年収」を尋ねた。すると、「800万円未満」の回答が全体の7%だったのに対し、「1600万円以上」が半数近くの46%もいた。「2000万円以上」に絞っても、ざっと23%もいる。

 医師は、やはり“高給取り”と言えそうだが、“体力勝負”であることも忘れずに。

週刊朝日 2017年3月10日号