プロゴルファーの丸山茂樹氏が、今シーズン初となる松山英樹の予選落ちを分析する。

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 いやあ、残念でした。僕の自宅から近いリビエラCCで開催された米PGAツアーの「ジェネシスオープン」(2月16~19日)です。松山英樹(25)は今シーズン初めての予選落ちでした。

 世界ランキング1位のジェイソン・デイ(オーストラリア)、フェデックスカップポイントランク1位の英樹、2位のジャスティン・トーマス(米)という豪華なペアリングでしたけど、いきなり濃霧でスタートが遅れたのに始まって、雨にたたられながらのラウンドでした。3日目までかかった予選ラウンドで、英樹は68、80。スタート前に「天気が悪いのはやだね」なんて話をしてたから、英樹も警戒はしてたんでしょうけど、ショット、パットともにいま一つのまま終わりましたね。

 今シーズン26ラウンド目にして、初のオーバーパーですか。どれだけ安定してたか、ってことですね。本人が「初日の始まる前から違和感があった」とコメントしています。プロアマが終わったあとの練習を見ましたけど、「調子がよくない」とは言ってましたね。試合に入って急に気温が下がったりとか、気候の変動が激しかったりして、試合の中で修正できなかったんでしょうね。まあ、誰にでもあることですから。特別なことじゃないですよ。

 本人も深刻な感じじゃないと思いますよ。4月のマスターズの直前でなくてよかった、と思えばいいんじゃないですか? ここ数年を振り返っても、不調が何週間も続くっていうのは、去年の全米オープンと全英オープンに続けて予選落ちしたときぐらいですから。いいときはマスターズで勝てるようなゴルフができてるわけだから、何も心配することはないですよ。

 
 英樹と同組で回ったデイも、パッとしないゴルフで通算2オーバーの64位。去年の3月末から47週間にわたって世界ランク1位に君臨してきたんですけど、この試合で勝ったダスティン・ジョンソン(米)にトップの座を奪われました。デイは「タフな時間だった。いいことがあった一方で、慣れない状況で居心地は決していいもんじゃない。プレッシャーもあった」と話してますね。

 腰を痛めて試合に出られない時期もあったし、復活しても調子が上がらなかったりで。腰のことがあるから体重も落としたみたいだし、まだしっくりいってない部分があるんじゃないですか? まあ、彼の意識の中ではマスターズまでに調子を上げていければいいというとらえ方だと思いますよ。それにしてもタイガー・ウッズ(米)は13年もトップを守ってたのか。ほんと別格ですね。現状は誰が1位になってもおかしくない。飛び抜けた選手はいませんから。

 欧州ツアーでは、最終日を上位24人によるノックアウト方式の6ホールマッチプレーにするという新しいフォーマットで試合がありました。欧州、アジア、オーストラリアの共催となった「ISPSハンダ ワールドスーパー6 パース」です。欧州ツアーは練習ラウンドを短パンでもいいようにしたり、アジアとのジョイントをしたり、独自色を出してきましたから。その一環でしょうね。米ツアーはやらないでしょうね。4日間72ホール、という部分は崩さないと思います。

週刊朝日 2017年3月10日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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