サイトの種類で選ぶ場合、比較的信頼できるのは、厚生労働省や国立がん研究センターなどの公的な機関や、医師の研究団体である学会、大学病院など。同じ医療機関でも個人病院やクリニックは玉石混交だ。公的な医療機関の判別は、ドメイン(URL)をみるとよい。末尾が“ac.jp”や“go.jp”となっている。

「ただ、こうしたサイトは専門的で読みにくく、わかりにくいのが難点。読み解く能力が必要なケースも多い」(中山さん)

 医療・健康サイトやまとめサイトはどうか。医療系のサイトの関係者、Cさんによると、「ウェルクの一件以来、医師監修を付けるサイトが増えている」という。だが、それも信頼できるとは限らないと言及する。

「というのも、例えば、皮膚科や放射線科、あるいは美容外科の医師が、アルバイトで自分の専門と異なる記事を監修することがあるからです」(Cさん)

 医師監修が付いていても安心せず、その医師が何を専門とするかまでチェックしたほうがよいだろう。

 患者会のサイトや患者の個人ブログはどうか。

 まず、患者会だが、海外ではその病気に関する最新の情報を発信するところが多いが、日本でそういう活動をする会は一部。一方、個人のブログは、症状や経過などは体験談なので参考になるが、個人がどれだけ信頼できる情報を発信しているかは不明だ。

 Cさんによると、意外にも病気の知識を得るのに役立つのが、大手製薬企業の作るサイトだという。C型肝炎や花粉症、AGA(男性型脱毛症)などの病気では、治療薬を扱う企業が患者や家族向けに疾患啓発サイトを作り、医療機関を検索できるサイトもある。

「昨今、製薬企業はコンプライアンス(法令遵守)が厳しく、参照元や表現など、内容をかなり細かくチェックしている。病気に詳しい医師が監修しているし、患者さん向けにわかりやすく書かれています」(同)

 ネットの信頼性の問題を改めて浮き彫りにしたウェルクの一件。その影響が良い方向に進んでいる面もある。ユーザーにも変化が出てきているというのだ。

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