田原総一朗「『猜疑心の塊』金正恩は米国に何を求めるのか」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「『猜疑心の塊』金正恩は米国に何を求めるのか」

連載「ギロン堂」

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金正恩は米国に何を求めるのか(※写真はイメージ)

金正恩は米国に何を求めるのか(※写真はイメージ)

 それにしても、金正男はなぜこの時期に殺されたのか。暗殺犯は男女6人のグループで、主犯の男たちはマレーシアを脱出し北朝鮮に帰ったとみられている。となると殺害を命じたのは金正恩で、金正男が自分に取って代わるのを恐れたということなのだろうが、なぜ、政権が発足して5年になるいま実行したのか。

 金正恩は政権2年目の13年に叔父の張成沢を処刑している。張成沢は金正恩を全面支援していた。処刑の理由は国家転覆をはかったためとされているが、北朝鮮の事情通たちは軍部のストーリーに金正恩が乗せられたのだろうとみている。となると、非常に猜疑心が強い、危なっかしい人物だ。現に「週刊朝日」3月3日号によれば、彼は12年に3人、13年に約30人、14年には約40人、15年には約60人の幹部を粛清したという。粛清の数がどんどん増えている。今年1月には粛清側のトップ・金元弘国家保衛相が解任され、次官級を含む同省幹部多数が処刑された。もはや北朝鮮に金正恩が信用できる人間はおらず、彼はストレスの塊になっているはずだ。

 北朝鮮がしきりにミサイル発射や核実験を行うのは、米国を攻撃するためではない。1発でも米国にミサイルを撃ち込めば、米国の全面攻撃で北朝鮮が崩壊することは、金正恩もわかっているはずである。金正日が核開発を始めるとブッシュ大統領が危機感を抱き、03年から米、日、韓、中、ロとの6カ国協議が数回開かれた。金正恩はその再現を狙っているはずだ。とはいえ、ストレスが高じて彼が正常な判断を欠き、米国に向けミサイル発射を命じるなんてことが起きなければ良いが。

週刊朝日 2017年3月10日号


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田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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