金正男暗殺をプロが徹底分析「北朝鮮の犯行ならば、金正恩が知らないということはあり得ない」

週刊朝日#北朝鮮
関西学院大学教授・平岩俊司さん(撮影/写真部・岸本絢)
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関西学院大学教授・平岩俊司さん(撮影...

独裁国家・北朝鮮の実像
川口俊和著
978-4022514400
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 猛毒の神経剤VXで殺害された、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏(45)。実行犯の女2人を操ったとされるのは、在マレーシア北朝鮮大使館員、高麗航空の職員ら北朝鮮籍の男7人。謎が深まる事件を坂井隆・元公安調査庁部長と平岩俊司・関西学院大学教授が読み解く。

*  *  *
平岩:なぞの多い事件ですが、情報の源の多くは韓国。確たる情報がないのに、推定の上に推定を重ね、まことしやかにいくらでも話が作れる状態です。

坂井:しかも、状況に合わなくなったら、また新たに話を作っていく。

平岩:まさに私たちが共著『独裁国家・北朝鮮の実像』で話し合ったそのままの展開になっています。

坂井:現地警察が発表した容疑者の男たちは北朝鮮旅券を使ってマレーシアに入国したと言います。彼らは別の国の旅券を作るのはお手の物。なぜわざわざ北朝鮮旅券を使ったのか。北朝鮮に帰るまでの経由地で名前を変えることもできたはずだが、それもやっていない。自分から北朝鮮の人間がやりましたと言っているようなものです。

平岩:私はなぜ死んだのが正男氏だとわかったのかと思いますね。韓国側によるリーク説とかもあります。正男氏だとわからなければ、大騒ぎになることもなく北朝鮮の大使館が遺体を引き取って終わったかもしれない。その辺を甘く見ていた可能性もあると思います。

坂井:この事件では、さまざまな情報が乱れ飛んでいますが、一方で、なぜ暗殺犯たちは、正男氏があの時間に空港に来ることがわかったのか。そもそも彼はマレーシアで何をしていたのか、誰と会っていたのか。その辺がまったく出てこないのも不自然です。

平岩:しかし、この事件をもって北朝鮮の体制のゆるみが表面化したというような指摘は、どうかと思いますね。

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