戦時中のプロパガンダ「ぜいたくは敵だ」 (c)朝日新聞社
戦時中のプロパガンダ「ぜいたくは敵だ」 (c)朝日新聞社

 創刊95年を迎えた「週刊朝日」。その間には数々の流行語が生み出され、今では定着した言葉も。昭和の流行語から、その世相を見ていく。

「『OL』を一番に持ってこい!と。部下からは『公募の結果を変えるのはマズイ』とうるさく言われたけれど、強引に押し切った(笑)。それで発表したら、どんどん広まっていったんです」

 1963年当時、「女性自身」編集長だった櫻井秀勲さん(85)は、その年の流行語「OL(オフィス・レディ)」の誕生秘話を明かした。同誌では、新しい時代の働く女性を表す言葉を読者から公募。本当は7位だったOLを、編集長の権限で、大ウソついて1位にしてしまったのだ。

 櫻井さんは、31歳の若さで編集長に就任し、のちに同誌を最高147万部まで押し上げた伝説の雑誌編集者だ。その櫻井さんが“ウソ”の発表をしたのは、理由があるという。

 OL以前、働く女性はBG(ビジネス・ガール)と呼ばれていた。そもそも「○○ガール」は、28年の流行語「マネキンガール(=ファッションモデル)」や、29年の、男性の散歩のお供をして報酬を得る女性が銀座に出没するという噂の「ステッキガール」から派生。以降、「エアガール(=フライトアテンダント)」といった使われ方をした。

「当時の働く女性はお手伝いさん感覚で、ガール(少女)はその表れ。ですが、当時行ったアメリカで、BG=夜の女としか捉えられていないという実情を知った。これからの日本はガールじゃまずい、大人の女性の時代だと強く思いました。そこでBGに代わる新たな言葉を誌上で公募したのです」(櫻井さん)

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