「でもこれ……サスペンスなんでしょうか? たしかに、『ジキルとハイド』のような思い切りのいいコメディーではないけれど、三谷さんなので、やっぱり笑えます(笑)。不条理も、サスペンスもコメディーも、全部入っている感じですね」

 女優としての喜びは何かと訊くと、「“あなたのこういうところが見たい”と言ってくださる監督や演出家の方との出会いです」と答えた。

「最近は、悪女も含め、従来の私のイメージとは違う役を求められることが多くて。自分の中に全くないものを引き出すのは難しいから、きっと何かしらの素養はあるんでしょう(笑)。そういう、自分でも気づいてない面を、一緒に探していただけることが、すごくありがたいです」

 人や作品や役との出会いは、隠れていた自分との出会いでもある。

週刊朝日  2017年3月3日号